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日本初の大型バス自動運転実証運行 [旅行一般]

(2020/10/10に動画をyoutubeで公開しました→こちら)

近年、自動運転の開発がはやっており、日本の各地で自動運転の実証実験が行われています。これまで行われてきたのは、小型のカートのようなもの(こちらの記事にもあります)や小型のバス(一般的なコミュニティバスくらいの大きさ。車種だとポンチョなど)ですが、2020年の10月5日に、ついに大型バスによる営業運転での実証実験が行われました。
実験自体は以前から行われていましたが、一般客を乗せて走るのはこの日が初めて(大型バスでは日本初!)ということで、これは行かねばと思い行ってきました。

場所は、こんな山奥を進んで・・・
shiki.jpg
(ここを行く必要はありませんが、駅からの公式ルートです)
satoyama.jpg
よく整備された庭園を抜けた先にある入口。
ちょうど記者会見か何かで報道関係者が集まっていますね。
press.jpg
こちらは横浜市で毎年秋に開かれる里山ガーデンフェスタというイベントの会場。近くに動物園のズーラシアがあり、そことを結ぶ無料シャトルバスとして実証実験が行われます。道が太いわりに先が行き止まりになっているので、交通量もほどほどで実験にはもってこいの場所なのでしょう。

報道関係者の試乗会は午前にあったらしく、今は会見中なので、今のうちに止めてあるバスを見てみましょう。
まず前から・・・
front.jpg
そして後ろから・・・
rear.jpg
自動運転ということで、運転士の目の代わりにたくさんのカメラがついているのがわかります。
屋根の上にはストリートビューでも作れそうな全方位カメラが鎮座し、前後左右に監視カメラのようなカメラ(一部マイク付き)がついています。またぱっと見ではわかりにくいですが、前面の黒い部分にレーザーセンサーがついていたり、屋根上に位置測位用のセンサーなどがついていたりします。
一般車と比べるとその差がはっきりわかりますね。
compare.jpg
(左が一般車、右が自動運転車)

今日走るのは4往復、片道約900mです。せっかくなので、里山ガーデン発の第1便に乗車しました。
運転席はこんな感じ。
dseat.jpg
自動運転用にパッドが置いてあるくらいで、普通のバスと変わりません。
さすがに立ち乗りはまだ無理とのことで、全員が着席し発車。このため乗客は25人での運行です。
指定の位置までは同乗している運転士が運転し、そこで運転席から降ります。そして、自動運転開始。
そろそろと道路に出て、ゆっくりと走り始めます。ちなみにガイド音声もいわゆる「ゆっくりボイス」(笑)。

車内には運転席後ろに自動運転用と思われる機器が、座席一つつぶして設置されていました。そこにモニターが設置され、運転席の様子を見せてくれます。
drivein.jpg
ちょうど運転士が席から離れて走っている様子が写っています(静止画じゃわかりにくいですが)。
ちなみに手を伸ばしているのは、何かあった時に緊急で操作ができるようにするため。この時この人は運転士ではなく保安要員の扱いです。

この自動運転は、あらかじめプログラムされたルートを走るもの。よくあるのは運転士が座席に座って操作を補助するものですが、このバスの運転席には誰も座っていません。それじゃどうするかというと、約3km離れた営業所に指令室を設け、そこからバスを操作できるようになっています。指令室にはこのバスに付いたカメラやマイクの映像・音声が伝えられており、アクセル、ブレーキ、ハンドル操作などができるようになっています。音声はヘッドホンから、ハンドル操作はハンコンで、まさに「リアル(を動かす)シミュレーションゲーム」ですね。

せっかくなので外からも見てみましょう。
こちらがまさに公道を走行中の自動運転バス。
driveout.jpg
運転席には誰も乗っていないのがわかるかと。
何もなければこのまま終点まで走るのですが、現在はまだ実験段階だったり規制があったりで、最高速度が20km/hに抑えられています。そのため、いくら交通量が少ない場所とはいえ、後ろに後続車が並んでしまいます。
その状況を機械が自動で判別するまではまだなっていないようで、遠隔操作をしている人が状況を判断し追い越しさせていました。
その時の状況がこんな感じなのですが・・・
pass.jpg
やはり遠隔では縁石に寄せづらいのか、走行ルートそのままでハザードを焚いて停車。この写真ではすでにバスは止まっているのですが、寄せるどころかずいぶん離れちゃっています。そのため、後ろの車も抜かしていいのやら悪いのやら、ちょっと戸惑った様子でした。これは今後の改善点にでもなるのかな?

そんなこんなで、1往復乗ってみました。比較のために一般のバスにも片道乗ってみました。自動運転はまだ低速ということもあり、発進も停車も比較的スムーズ。ハンドルがひとりでにくるくる回るのも見ていて楽しいものでした。バスターミナルに出入りする時の動きはまだぎこちないものがあるものの、自動運転もここまで来ているのかと感心させられたものです。

ちなみに、自動運転はレベルで段階分けされており、自動ブレーキや車線維持などのレベル1から、完全自動運転のレベル5までありますが、今回の自動運転はレベル3「条件付自動運転」だとか。一見レベル4の「特定条件下における完全自動運転」のように見えますが、まだいろいろと遠隔操作を行っているので、レベル4にはならないのだそうです。

ではこの技術でどんな問題が解決するのか。当然完全自動運転への1歩という意味もあります。バス会社の直近のメリットとしてはどうでしょう。運転士はいませんが、保安要員が乗っていれば人件費削減にはならないはず。ただ、近年大型二種免許保持者が減っているということで、運転士の確保が難しいという問題があります(どちらかというとこれは勤務条件の問題とは思いますが・・・)。保安要員なら免許なくてもいいよねということで、乗務員のハードルを下げてすそ野を広げることができるでしょう。各バスには保安要員、それを一元的に管理する指令室から緊急のときはバスを操作。こんなところでしょうか。確か、JR九州の自動運転の考え方もこんな感じだった気がします。

そんな未来を覗くことができた、貴重な体験になりました。

(おまけ)
実証実験用に道端にいくつか設置されていたカメラ(実験主体の「日本モビリティ」の文字が入っていた)
camera.jpg
どこにも説明がなかったのですが、これは何のため?(死角を補うカメラ?)
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